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福島県 小泉さんの声 第2回

更新日:8月31日




「家に置く非常用バッグは一人ひとつ」



福島県 相馬市 小泉ひとみ さん



地元である相馬でボランティアを続ける「偲いを紡ぐプロジェクト・∞」の小泉ひとみさんに伺いました。3度の災害に見舞われた経験を、広く伝えたい……。



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東日本大震災から2021年で10年になります。節目と言われるけれど、2018年には台風19号で洪水がありました。そして2021年2月13日には再び震度6強の地震が襲いました。しかも今回も震源地は相馬付近です。

なぜ、ここまで重なるのか……。こんな体験はそうそうあるものじゃないです。

相馬で起きたことを、相馬だけで完結してはいけない。災害に備えるための記録として体験を発信しなければいけない。自分たちの地域だけを見るんではなくて、「防災」として広めていく段階に入ったと感じています。


学校の先生とともに、子どもたちに伝えていることがあります。

まずは、「安全な場所で待ち合わせをしてね」と伝えています。自分の住んでいる地域の防災マップを確認して、安全な場所はどこなのか?地図に書かれている場所はほんとうに安全なのか?を家族でチェックする。地震、洪水、火事……それぞれの災害で安全な場所は異なります。

いざ災害が起こったときに、必ずそこで待ち合わせをすると確認をし合っておくこと。携帯電話が通じなかろうが、時間がかかろうが、待ち合わせ場所を決めておけば会える。

これは、大切なひとの安否を心配し、家に戻ってしまい津波の被害に遭ったひとが少なくなかった相馬の実体験から来ています。


「バッグに入る非常用のポーチを持ち歩く」

本当に必要なものは、メモ書きと常備薬、買い物でもらうビニール袋2枚程度です。これらを小さなポーチに入れて日頃から持ち歩くんです。

メモ書きには名前と第3連絡先までと血液型を書いておき、身元がわかるようにしておきます。水害などで水に濡れても大丈夫なように、紙でない素材に書くほうがいいですね。これがあれば身元不明者ではなくなります。常備薬は3日分を。ビニール袋はいざとなれば、暖をとったり傷口をふさぐ役割もあります。

いまは、エコバックを持ち歩いている方もいると思いますので、日頃の延長線上で防災グッズにもなるという感覚で持ち歩いてみてください。


「家に置く非常用バッグは一人ひとつ」

コロナ渦のステイホームでよかったのは、家に常備してあった非常食の賞味期限をチェックして、食べてしまえたこと。ずっと置いておくのではなく、日頃から少しずつ使っていくことが大事です。そして、この非常用バッグは家族でひとつではなく、一人ひとつ持つことが必要です。子どもにはキャラメルや飴玉を入れ、おばあちゃんには薬やおむつも入れます。それぞれに必要なものが違ってくるので、我が家では家族に一つずつつくって、玄関に近いところに置いています。

車の中にも、最低限のお水とお菓子、あと忘れてならない「非常用トイレ」を置いておきます。災害が起こって車の中で立ち往生した際に、100組中3組しか携帯トイレを持っていなかったというデータがあります。

ないと非常に困ります。トイレの問題もぜひ考えてみてください。


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3度の災害被害にあいましたが、これまで積み重なったたくさんの知恵と経験があります。ちょっとやそっとのことでは動じなくなりました。命さえあればいい。命があれば、ものは壊れても直せるんです。

東日本大震災から10年、復興が進んだ相馬を見てほしいと思っていましたが、震度6強の地震で大きな被害が出てしまい、ふりだしに戻りました……。

相馬がこれほどまで試練をくり返し経験しているのは、「災害は忘れたころにやってくるものだ」と相馬を通じて全国のみなさんへ示すためなんだと思います。

これからは、災害や防災について情報発信をしていくフェーズだと考えています。



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第3回へつづく