株式会社サガシキ・Uさんの声 第3回

人の安心をつくる、段ボールの可能性
株式会社サガシキ・Uさん
パッケージや段ボールを製造するサガシキで32年の社歴をもつUさん。避難所で過ごす人の安心やプライバシーを守るため、「hacodé(ハコデ)」は改良を重ねてきました。これまでの経験を未来の防災にどうつなげていくのか、そして、ものづくりを通じて社会にできることについて聞きました。
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避難所での「安心」をつくる空間デザイン
私自身は実際に避難所で過ごしたことはありません。けれど、武雄市役所で日頃防災に関わっておられるご担当者や、被災地へ物資を届けられた地元のボランティア団体の方々から防災訓練やイベントなどの機会によく話を聞くようにしています。
そのなかで印象に残っている声があります。
「アウトドアでよく使うパイプベッドを導入していたんですが、最初はクッション性もあって寝転んだときに気持ちがよかった。けれど、これが丸1日とか2日と経っていくと、柔らか過ぎて腰が痛くなってしまった。長く過ごす場合には、段ボール製のベッドの方がいい」
これは決してパイプベッドが悪くて、ダンボールベッドが良いと言っているわけではなく、「中長期化する避難所生活の優先度」がよく分かる声だと思っています。
大きな災害が起こったとき、初動で考えることは飲水の確保や口に入れるものだと思うんです。第一弾として必要不可欠な支援であると同時に、避難所での生活が3日、1週間と続いていった場合に考えることは、その空間をどうデザインしていくかということが大切になってきます。
空間が広い体育館を避難所として利用することが多いですよね。その空間に、あなたは最初に避難してきた……。ぜひ一緒に想像してみてください。
まだあなた以外の避難者の数はまばらです。きっと体育館の端のほうに設置されたベッドに行くんだと思います。私はそうします。そこから、距離を空けたところにベッドが次々と配置されていく。この段階では、まだ人同士の距離があるのであなたの心理的安全は保たれています。人が増えてきて、すこし気持ちが落ち着かなくなってくる。ベッドに衝立て(パーテーション)を立てます。目隠しの意味で、2面とか3面です。
さらに避難する人が増えてきました。体育館は一杯です。そうなると、より人目が気になってくる。そうなって初めて、周囲を完全に囲うパーテーションを使います。
これは、武雄市の担当の方に聞いた避難所運営の方法です。避難する人数によって、パーテーションの設置方法が段階的に変わっていくことがわかると思います。
ただ、ただ隠してしまえばいいのかというと、そうじゃないんですよね。パーテーションの高さによっては、光を取り込めないと圧迫感を感じることもあります。
「ハコデルーム カスタマイズ」は、高さの調整ができるようにしていたり、よりコンパクト化を目指してつくりました。


81年のものづくりを、未来へつなぐ
もし、10年前の熊本地震の直後に戻れるとしたら。今の経験や知識を踏まえて自分にことばをかけるとしたら……。
現地に行くべきだったなと思いますね。hacodéを開発したのが6年前なので、10年前の熊本地震の際には生まれていない製品。もし現地に行っていれば、その時点で感じたことがあると思いますし、当時の実情を見聞きして、開発に早く取りかかれたんじゃないかと思います。
ふりかえると反省もありますが、現状そして未来に向かって新たな製品の開発も進んでいます。現在は、非常用のダンボール製簡易トイレを試作中です。B4サイズで高さが9センチくらいの箱に収まるもので、組み立てて便座ができて、そこに市販の非常用トイレ処理セットのビニール袋を被せて使用してもらうというものです。
こういったことからも、世の中の防災製品が増えているという実感もありますし、防災意識の高まりも感じます。
武雄市のご担当者の意見の受け売りなのですが、最後にご紹介させてください。
「これまでの経験を通じて、災害発生時、自治体・職員がすべての物資やサービスを提供することは困難なことが分かってきました。避難する人たちが能動的に協力し合う必要があります。そのため、人手が限られる中で『分かりやすさ』と『日常づかい』ができる訓練やツールが必要です。非常時だけでなく、日常的に使い慣れていることが大事」
我々としても、日頃身近な素材である段ボールが、人々の暮らしや社会への貢献をよりできるものだと確信しています。
81年前、戦後物資が不足していた時代に貨物列車で行き先を示していた「車票」のように、現在も社会のライフラインに関わるものづくりを継続する会社でありたいと考えています。


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第2回にこちら
▼サガシキによる災害支援製品「ハコデシリーズ」の詳細は、こちら https://hacode.jp



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